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[第3章]チャイナドレスの怪しい喫茶店。
店に入ると一番奥の部屋に案内された。真っ白い壁の15帖くらいある広い部屋で、ゴージャスなドデカいコーナーソファーが置かれていた。(喫茶店?)という疑念を抱いたまま言われるままにゴージャスソファーに座った。しかし、旅行者向けにわざわざ豪勢な店に連れてきてくれたのかもしれないし、ちょとVIPになったようなで気分で、悪い気はしなかったのでその場では平静を装った。
奥からチャイナドレスを来た厚化粧のママ風な女性が出てきた。
「飲ミモノエランデクダサイ」。
たどたどしい日本語で、テーブルの上にメニューを置きながらチャイナママは言った。
「好きなもの選んでください」。
モンゴル人のオッサンも言った。
僕と健兄さんとフランケンとヒグピー氏はアイスコーヒーを頼み、豆タンクは一人ミルクティーを頼んだ。豆タンクは一人甘いものが好きなのだ。
飲み物が出てくる間、代わりに今度は青いチャイナドレスを着た化粧っ気の無い若い女性がオツマミを運んできた。青チャイナはドンドンおつまみを運んできた。もちろんオツマミなんか誰も頼んでないのにドンドン運んできた。
「さ、さ食べてください」。
モンゴル人のオッサンが言った。チャイナママも出てきて「ドウゾドウゾ」と言った。そして、名刺を僕ら一人一人に渡しはじめた。この喫茶店はやはり何か違う。仰々しく名刺を渡し終えたチャイナママは僕らの横に座り、たどたどしい日本語で僕らに質問してきた。
「ドコカラキマシタカ?」。
「神戸です」。
「イツコラレマシタカ?」。
「今日です」。
「イツマデイマスカ?」。
「明後日帰ります」。
チャイナママは知っている日本語を全部しゃべると、それ以上しゃべらなくなった。
その後、モンゴル人のオッサンと雑談をしてさあ行きましょうということになった。お勘定を頼むと、チャイナママは笑顔で金額を伝えてきた。
「350元デス」。
チャイナママのたどたどしいけど決意のこもった金額提示を聞いた豆タンクが、心配そうな顔で僕に言った。
「350元だって言ってます」。
350元と言えば、日本円で約5千円である。まああれだけオツマミが出てきたのなら仕方がないかな、日本でも一流のホテルだったらそれくらいはするよな。と思いながら支払いをすませた。
「幾らやった」。
ヒグピー氏が言うので金額を言うと、丁寧ちゃんが言ってた中国における平均賃金を覚えていたヒグピー氏が、
「確か中国人の平均月収が月3万円って言ってたな。ということは5千円だと、月収の6分の1だ。日本の平均月収が20万円で6分の1だと3万円。お茶代で3万円掛かったことになるやん」。
分かるような分からん例えだが、ヒグピー氏が指摘する通り中国人の給与の6分の1を、わずか1時間ほどの間にお茶を飲んだだけで消費したことは確かだった。
まあ仕方がないか、ということで僕らはまたバスに乗った。予定していた観光スポットは一応終了し後はホテルに向かう予定だった。
モンゴル人のオッサンはさも一仕事終えたような表情で座っていたが、しばらくすると、
「足疲れてませんか、中国の大変マッサージ効くね。足つぼマッサージ日本人に人気ね。今からその店行くね」。
と言って今度は足つぼマッサージ屋に連れて行くつもりらしいことが分かった。
「今度はマッサージ屋らしいで」。
健兄さんが言った。
「このオッサンさっきの店のママともつるんでるんやろな。絶対バックマージンもらってるんやで」。
ヒグピー氏がスルドク言った。
すでに僕らはモンゴル人のオッサンの魂胆が分かっていたので、オッサンに、マッサージ店には行かないと言った。モンゴル人のオッサンは食い下がった。
「ホテルの帰り道にあるよその店は。すごく気持ちいいよ」。
「いいです。そのままホテルに行ってください」。
と僕が言ったにもかかわらず、モンゴル人のオッサンは、マッサージ屋にバスをとめ、「さあここです」。と僕らの意見をまったく無視してマッサージ屋に入っていこうとした。
| ▼大連市内で。 |  | いいかげん頭に来て、僕はもう一度モンゴル人のオッサンに言った。
「僕ら誰もマッサージしませんので、このままホテルに戻ってください」。
モンゴル人のオッサンはさも“稼ぎそこねたぜ”というような顔をして、渋々バスに戻ってきた。
さすがに疲れたのか、バスがホテルについてもなかなか腰が上がらなかった。いつまで立とうとしないヒグピー氏にフランケンが、「行きましょか」と言うと、ヒグピー氏は、
「行く時は一緒」。
と、この後に及んでこれも得意のエロエロ攻撃に出た。もちろん健兄さんはのたうちまわっていた。
ホテルに戻り夕食までには少し時間があったので部屋で少し休み、再びモンゴル人のオッサンのバスに乗って出掛けた。
これまた豪勢な店だったが、一応この夕食は旅行代金に含まれているはずなので、またまたボッタクられるという心配は無かった。
食べきれないほど出てきた中華料理を満喫してホテルに戻るバスの中で、
「もう女の子はいいので、ちょっとお酒が飲める店ないですか?」。
とモンゴル人のオッサンに聞いた。昼間のチャイナママの店の件があったが、聞く人はこのオッサンしかいないし、ちゃんとリクエストすればいくら何でも変な店には連れて行かないだろうと思って聞いてみたのだ。
「ああそれなら、僕の知っている店でいい店あるよ」。
モンゴル人のオッサンはそう言った。2・3日前から風邪気味だった豆タンクをホテルに送って、僕らはモンゴル人のオッサンのバスでその店に向かった。

[第4章]チャイナドレス再び。
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